アイロン道場

またはプリント基板簡単製作

アイロン道場

洗濯ノリとポスターカラーでつくる「なんちゃって青いシート」。これがあれば、ローコストでプリント基板を作ることができます。

参考頁: NAO TECHNOHUT

 

ソフトウェアラジオもごらん下さい。

なんちゃって青いシート

趣味で使うプリント基板の作り方には、フォトレジストを使った方法があちこちで紹介されています。フォトレジストを使えば、かなりの確率で品質のよいプリント基板を作ることができますが、フォトレジストを塗った基板は高価です。フォトレジストをビンで買い、自分で塗るという方法では、一様に塗るのが難しいようです。

ここ数年、アマチュアのプリント基板製作業界(?)では、レーザープリンタを使ったプリント基板製作が行われるようになりました。アイロンの熱でトナーを銅箔上に転写する方法です。専用の転写シートは2種類市販されています。その一つのアメリカ製の青いシートが有名です。筆者も青いシートを通販で購入して、何枚も使いました。しかしアイロンをかける手順が難しいのと、青いシートが高価なこともあって、歩留まりの悪さに悩んでいました。

ところが、数日前にあるホームページを読んでいたとき、「ピピン」と来るモノがありました。さっそくホームセンターに行って、道具を買ってきて、青いシートを自作してみることにしました。結果は、こうです。

ちょっと見にくいですが、見事にプリント基板が完成しました。青いシートを使ったときとほとんど同じ品質でプリント基板を作ることができました。それで、急きょ「アイロン道場」を開設することにしました。これを読めば、あなたも免許皆伝です。

必要な道具

プリント基板のエッチングに使う道具は、一揃い持っていることとします。新たに必要なモノは、これだけです。重要なのは洗濯ノリです。PVA(ポリビニルアルコール)が入っているモノを用意して下さい。ホームセンターで探したら、一番安い洗濯ノリにPVAが入っていました。PVAがOHPシートとトナーの間にあると、簡単にはがれるようです。洗濯ノリの材料なので、アイロンの熱にも十分耐えます。

洗濯ノリ(98円)とポスターカラー(98円)色はなんでもよい)と刷毛(128円)。

PPC用OHPフィルム。20枚入りで1100円くらい。レーザープリンタがほかに必要です。通説によるとキャノンかエプソンがいいそうです。筆者はエプソンのLP-800Sを使いました。古くて、解像度もあまりよくありません。でも、プリント基板を作るには十分です。

 

なんちゃって青いシートの作り方

では、「なんちゃって青いシート」を作りましょう。まず、発泡スチロールのトレーにポスターカラーと洗濯ノリを垂らします。量は適当でいいです。A4で1〜2枚塗れる分、適当に垂らします。

垂らしたら、十分に刷毛でまぜます。この時少々固くても水は入れないで下さい。

十分混ぜたら、OHPシートに塗ります。ポスターカラーを混ぜたのは、透明な洗濯ノリでは塗りむらがわからないからです。ですから色は自分の好きな色を使って下さい。

刷毛でまんべんなく塗ります。色が付いていると塗りむらがわかって便利です。シートの端は印刷されないので、指で押さえておきます。

あとはここまま半日ほど乾かして完成です。塗った面がプリントされるように、レーザープリンタの手差しで入れます。プリンタの設定は、モノクロ、濃度は最高にしておきます。また、トナーで転写した場合、トナーがつぶれるので、最初からつぶれを想定したパターンを作っておきます。筆者は、EAGLEを使いましたが、すべての間隔を20milに設定しました。

アイロンで転写

レーザープリンタで印刷したなんちゃってシートを基板に合わせて切ります。画像はすでに切った後の残りです。なんちゃってシートをプリント生基板に貼り付ける前に、生基板をスチールウールで磨いて下さい。できれば、パーツクリーナーで洗浄します。パーツクリーナーはホームセンターで売っています。1本、300〜500円くらいです。銅箔の表面に細かい傷を付けるとトナーが接着しやすくなります。

ちなみにこれは、ポスターカラーを入れないで作ったシート。塗りむらがわからないので、ミスが出やすかった。

アイロンの温度は中よりも若干上に設定します。高い温度で、トナーを溶かして転写してやります。パターンがつぶれるのを想定してパターンを書いているので、ぎゅっと上から押しつけてアイロン掛けしてやります。この時のコツは、大きめの基板に余裕を持って転写シートを貼る。はじっこはどうしても転写ミスが出やすいです。トナーのつぶれを恐れずに、高温で一気に押さえる。

アイロンで押さえていくとシートが密着して、パターンが浮き上がってきます。煙が出るくらいの温度でやっています。

パターンがつぶれてきたら、そこには力を加えないようにします。

アイロン掛けが終わったら、水で冷やしてシートをはがします。青いノリが残る場合は、お湯で溶かしてノリを除去します。もし、転写ミスがあったら、マジックインキなどで修正します。白い修正液も便利です。

パターンをチェックしたら、いつものエッチングです。

何も修正しない状態でそのままエッチングしたモノが、上です。下は、トナーをスチールウールで削った後です。トナーはエタノールでも落ちるそうですが、筆者はせっせと磨いています。

若干、パターンのつぶれが見られます。

しかし、この程度でしたら、市販品のシートでもよくあることでした。OHPシートに洗濯ノリを塗った方法なら、1枚あたり60円程度で作れます。失敗したら、スチールウールでごしごし削れば、何度でもやり直しできます。

じつは後で気がついたのですが、洗濯ノリを使っているので、はがし終えたあとのシートを水で洗うと、元に戻ります。切らないでA4のままの大きさで使えば、OHPシートを再利用することも可能なのです。

レーザープリンタで「なんちゃって青いシート」にパターンを印刷、アイロンで生基板に転写してエッチングするまで、約1時間で完了します。EAGLEであらかじめ基板パターンを製作しておく手間はかかります。でも、この方法を使えば、かなりお手軽にプリント基板を作ることができます。

次の目標は両面基板の製作です。乞うご期待!

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最終更新日: 06.3.20