プリント基板を作っているとどうしてもフォトレジストでの製作にたどり着く。トナー転写による基板製作もやってきたが、細かな線が出ないという限界 に行き詰まってしまった。トナー転写では、SOPまでなら大丈夫。しかし、TSSOPになると極端に歩留まりが悪くなる。10枚作って、1,2枚使えるか どうかだ。これでは仕方ないので、フォトレジストを入手して、プリント基板を作ってみた。以下は、実際にやった作業の内容である。
通販で買った富士薬品のフォトレジストを前にして、どうやって塗ろうかと考えた。ネットで調べてみると、ストローの腹でまんべんなく広げるという方 法があった。しかし、実際にやってみるとすぐにわかるが、数センチ四方の小さな基板ならなんとか塗ることが出来る。しかし、筆者が使っているような 100mm X 150mmの大きさになると、ストローでは塗りむらが出来て使えない。
富士薬品のフォトレジストと専用シンナー
ラジオデパートのマルカ電気で購入
できる。
そこで、プリント基板メーカーはどのようにして塗っているかを調べてみた。基板メーカーではコーターと呼ばれる専用の機械でフォトレジストを塗って いる。コーターには、遠心力で塗る方法とローラーで塗る2つの方法があった。霧状に散布する機械もあったが、かなり高価だ。実際、霧吹きにフォトレジスト を入れてプリント基板に吹きかけてみたが、まだらになって使えなかった。ローラー方式もオフセット印刷に使っているような大がかりな装置になる。そこで遠 心力で広げるコーターを作ってみた。ハードオフで買ったレコードプレーヤーを改造した。
レコードプレーヤーはハードオフで買ってきた。1000円。
ダンボールでターンテーブルに合わせてまるい囲いを作り、
中には100円ショップで買ったプラスチック製の皿を入れてある。
フォトレジストを塗る前にプリント基板を処理しなくてはいけない。まず、クレンザーで徹底的に洗う。表面の錆び、油分を取る。水に濡れた状態で、ヘ ヤードライヤーを使って乾かしてやる。
次にフォトレジスト専用シンナーをプリント基板に薄く塗る。これもヘヤードライヤーで乾かす。この工程をしないとフォトレジストの膜に穴が開く原因 になる(現在はこの工程は省くことがある。というのは十分に乾燥すると穴が空かないことがわかった)。
レコードプレーヤーを改造したコーターにプリント基板をセットする。中心には粘土を少量貼り付けてあるので、基板を乗せるだけで固定できる。スト ローをスポイト代わりにして、フォトレジストを薄めずにプリント基板上に広げてやる。惜しまずに広げるのがコツ。当選、ストローは1回ごと使い捨て。
コーター(ターンテーブル)を手で思いっきり回転させてやるとプリント基板上にフォトレジストが広がっていく。しばらく回転させておき、停止したら ヘヤードライヤーで十分に乾燥させる。ヘアードライヤーはかなり熱くなるくらい吹き付けてやる。中心から周囲に向け吹き付けるとよい。ここで手を抜くと塗 膜がはがれる原因になる。
インクジェットプリンタでOHP用紙にパターンを印刷しておく。ここで使っているのはエプソンのPM760Cで、かなり昔の機種だが、MSOPまで きちんと出力できる。フォトモードで印刷するときれいにできる。
ケミカルランプで露光する。露光時間は約20〜25分くらい。ケミカルランプはホームセンターで買ってきたやつ。
弱い水酸化ナトリウム溶液で現像する。水酸化ナトリウムは、水500ccに茶さじ1杯くらい。あまり濃度が濃いと塗膜が全部解けてしまう。
非常に薄い膜なので大丈夫かと思ったが、これがいがいと丈夫。現像後に、再びヘヤードライヤーで十分に熱風乾燥すると塗膜が丈夫になる。あとは通常 通りにエッチングを行えばよい。
できたのがこれ。