Soft66ADH組み立て解説-その1

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SJ1は、GND側をハンダでショートさせてください。

R15はチップ抵抗を取り付ける代わりにハンダでショートさせてください。

OPA2356は、両チャンネルのフェーズエラーが非常に少ないので、IQ信号の位相誤差が保たれる。

FT245RLとAD9834は、本来なら絶縁しなくてはいけないが、コスト面から行っていない。次の課題になっている。


ICS512Mは、スプリアスが多いが、アナログスイッチまでは、TTLレベルのロジック回路として動作するので、ほとんど問題とならない。

裏面にあるICのランドは、SN74AUC2G66のため。





tool1

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IPAだけでは、やりづらいときがあるので、サンハヤトのフラックスを一瓶混ぜると使いやすい。




























見かけではわからないハンダ不良に、ピンの裏側についたハンダブリッジがあります。 ルーペでよく見るとわかるので、その場合はもう一度ハンダを盛って、裏側のハンダを吸い取ります。
1、回路の説明

Soft66ADHは、ダイレクトコンバージョン方式です。受信したい周波数と同じ周波数の局発をミキサーに注入することにより、AF信号を取り出しま す。ミキサーに注入する局発にそれぞれ90度ずれた信号を用意することにより、IQ信号を得ることができます。

アンテナからの信号は、バンドパスフィルタとローパスフィルタで処理されます。フィルタのスイッチにはSN74CBT3251を使っています。7つのフィ ルタと1つの直結回路を持っています。

ミキサーの前に高周波増幅が1段あります。J310を使用しています。中波帯、HFローバンドでは利得が大きすぎる傾向にありますが、21M帯を基準にし て設定しました。

ミキサーにはFETバススイッチ、SN74CBT3306を使用しています。うまくつかえば、VHF帯まで受信可能です。

AF信号を取り出すローパスフィルタは、OPA2356を使用しています。バンド幅が200MHz以上あるちょっと贅沢な構成です。192kHzのサウン ドカードが使えるようにカットオフ周波数を設定しています。そのため、C8,C32は220pFに変更してあります。

局発のDDSにはアナログデバイス社のAD9834CURZを使っています。75MHzのクロックを使用することで、37.5MHzまで発振可能です。 AD9834は内部コンパレータを通すことで方形波を出力しています。次段の逓倍用IC、ICS512Mで4倍の周波数を得ています。次の SN65LVDS1で180度信号を反転させ、74LVC74のジョンソンカウンターに入力しています。CLKにそれぞれ180度反転した信号を入れる こ とで、1/2の周波数でIQ信号を得ることができます。ICS512で4倍、ジョンソンカウンタで1/2なので、AD9834の2倍の周波数のIQ信号を 得ることが可能になりました。

AD9834のコントロールは、USB経由で行っています。FTDI社のFT245RLでコントロールしています。FT245RLは、ファームウエアが書 込み済みで出荷されているので、PC側にドライバをインストールすれば、そのまま使うことができます。

Soft66ADHはUSBのバスパワーで動作します。USBの5V電源は非常にノイズが多く、そのままでは受信機には使えません。そのため、コモンモー ドフィルタとアクティブリップルフィルタを通して電源を得ています。

バンドパスフィルタについて若干の解説をしておきます。内側から外側に向かって、1から7までフィルタがあります。3のフィルタには、7Mを打ち消すため のストップフィルタが入っています。1uHと470pFです。

また、ローパスフィルタにしている2,3では、C23とC26がチップインダクタになっています。

1:未使用
2:05-1.2MHz    Low Pass Filter 8uH x2,1800pFx2,3800pF
3:1.2-5.5MHz   Low Pass Filter 2.2uHx2,470pFx2,1000pF
4:18.5-30MHz   0.18uHx2,1.2uH,270pFx2,33pF
5:5.5-9.5MHz    1uHx2,2.2uH,470pFx2,180pF
6:9.5-18.6MHz   0.47uHx2,1.5uH,330pFx2,100pF
7:30-70MHz   0.22uHx2,0.22uH,56pFx2,56pF


 2、 必要な工具類

最初に必要な工具を確認しておきます。これから用意する方は参考にしてください。
半田ごては30W程度のできればセラミックヒーターのものを用意してください。20Wでもできないことはありませんが、慣れないとGNDに熱を奪われて芋 ハンダになりやすくなります。これから半田ごてを購入される方は、温度調整が付いたものをお勧めします。また先端が細いほうがSMDのハンダ付けには向い ていると思われている方が多いのですが、じっさいやってみると少し太いほうがやりやすい場合が多く出てきます。ハンダは、できるだけ共晶ハンダを使ってく ださい。鉛フリーを使ってもいいのですが、あとでこちらが修理する場合、鉛フリーだとリワークがやりづらいので、自信のない方はとくにご注意ください。

ハンダ吸い取り線、一番細いタイプを用意してください。

フラックス、できれば無洗浄タイプのゼリー状のものが使いやすいのですが、なければ通常のプリント基板用フラックスか、ガソリン水抜き剤(イソプロピルア ルコール、IPA)でもいいです。ガソリン水抜き剤は、100円の安いタイプがおすすめです。IPAは筆で塗ります。

精密ピンセット、先端が鋭利なものを1本用意してください。ホームセンターで購入する場合は、1000円程度のいいものを買うと使いやすいです。安いピン セットは、先端がぴったりと合わないものがあるのでご注意ください。

ルーペ、100円ショップの拡大レンズがお勧めです。

セロテープ、部品をとめるために使います。透明なタイプがいいです。


3、部品のチェックと取り扱い

各部品は、パーツリスト、ビニル袋に入っています。最初にパーツリストから不足している部品がないか確認してください。台紙にテープで貼ってありますが、 ピンセットでつまんで取り出してください。チップ部品には、マークのない場合が多いので、ハンダ付けする寸前まで、貼り付けたままにしてください。

4、TSSOP部品のハンダ付け

最初にFT245RLとAD9834CURZをハンダ付けします。TSSOPのハンダ付けは、セロテープで固定する方法で行います。ほかにも瞬間接着剤や ホットガンを使った方法がありますが、セロテープを使った方法が初心者にはおすすめです。

左の画像のように、セロテープをチップの半分にかぶせるようにして、プリント基板に貼り付けます。このとき多少ずれてもかまいません。テープの隙間からピ ンセットを差し込んで、ピンとランドを正確にあわせてください。位置あわせは、ルーペで確認しながら納得がいくまで行います。

固定したら、ピンの上からハンダを流します。あまり多くても少なくてもだめなので、画像を見て調節してください。







AD9834も同様にして、テープでとめます。ピンの両端をハンダでとめます。








反対側を1か所ハンダでとめます。こちら側からハンダを溶かしていきます。








フラックスをたっぷり塗り、ハンダゴテを軽くあててハンダを溶かします。ゆっくりとコテ先をピンの上ですべらせてください。ハンダが溶けると表面張力でコ テについてくるようになります。何回か往復して、ハンダが十分にぴんの下に回るようにしてください。

コテを往復すると片側にハンダがよって来るようになります。コテにハンダが表面張力でくっついてくる性質を利用して、ピンの片側に余分なハンダを寄せま す。

現在のICは、かなり熱には強いので、ゆっくり作業しても大丈夫です。このハンダを溶かした状態で片側に寄せるとき、容量の小さなコテでは難しいと思いま す。またコテ先の細い場合も、十分に熱を伝えることができない可能性があります。

余分なハンダは、ハンダ吸い取り線で吸い取ります。完全に吸い取ってしまうと、ピンがはがれるので、注意してください。ハンダ吸い取り線をはがすときは、 コテ先で熱しながらはがしてください。無理に持ち上げるとピンが浮いてしまいます。




仕上がりの画像のように、ピンの周りに微妙にハンダが残っている状態が理想です。多少ピンの間にハンダブリッジができても、フラックスをもう一度塗ってコ テで温めると表面張力でブリッジが取れる場合があるので、試してみてください。












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上の画像を拡大するとOSCの向きがわかります。









5、SOP部品のハンダ付け

TSSOPに比べてピン間隔が2倍の1.25mmあるSOPは、なれればわりと簡単にハンダ付けできます。TSSOPと同じようにセロテープで貼ってもい いのですが、次の手順で行うと簡単です。

まず、右利きの場合は、右上のピンのランドに少量のハンダを盛ります。ICをピンセットで位置決めをしたら、左の親指で固定します。そっとハンダゴテをあ てれば、そのまま固定できます。次に対角線のピンを固定します。全体がずれないようになったら、フラックスを塗ります。コテ先にハンダを少しつけて、ピン をなでるようにするとハンダが流れて固定されます。

6、チップ抵抗、チップコンデンサのハンダ 付け

チップ抵抗、チップコンデンサは、最初に片側のランドにハンダを少量盛ります。ピンセットでつまんだチップ部品をランドに近づけてから、ハンダゴテでラン ドに盛ったハンダを溶かします。ピンセットをゆっくりと移動させてやると、溶けたハンダの中にチップ部品が惹きつけられるように自然と納まります。溶けた ハンダの中に置くような感じです。このとき、コテの温度が足りないと部品がハンダに触れたときにハンダが固まってしまい、うまくいきません。

チップ部品は平行になるようにします。傾いた状態では、ハンダ不良の原因になります。一通り、片側だけを固定していったら、基板全体にフラックスを塗り、 反対側にハンダをつけていきます。

チップ部品をピンセットで挟むときは、あまり力を入れないようにします。力を入れてはさむと、部品をあらぬ方向に飛ばすことになります。ご注意ください。
















7、OSCの取り付け

発振器の取り付け方向は、表面の表記で確認してください。取り付けには、まずランドの1箇所にハンダを盛ります。OSCの背面にはフラックスを塗っておき ます。ハンダが浸透しやすくするためです。






ランドはコテ先があてられる様に広く取ってあります。上からOSCを指で押さえて位置決めします。あらかじめ盛ってあったハンダにコテ先を当てて、十分に 溶かします。固定されたら、残りのランドもハンダ付けしていきます。





8、miniUSBコネクタの取り付け

一番難しいのが、miniUSBコネクタかもしれません。OSCと同じようにランドのひとつにハンダを盛ります。このとき、端子のランドにフラックスを 塗っておくとこのあとの作業がやりやすくなります。





コネクタを位置にあわせたら、ランドに盛ったハンダを溶かして固定します。端子の位置がずれないように気をつけてください。コネクタはかなり熱くなるの で、ピンセットを使うのが良いです。

端子の上から多めのハンダを流します。余分なハンダは吸い取り線で取り除きます。



固定できたら、のこりの足をハンダ付けします。







9、SMAジャック、ほかの部品の取り付け

SMAジャックは、差し込んで、裏と表がまっすぐになっているかを確認して、芯線からハンダ付けします。裏のランドも十分に加熱してからハンダを流してく ださい。




3.5mmイヤホンジャックは、内側にある2つの端子をニッパでカットしてください。ぎりぎりに切り取らないと、入りません。


LEDは足の長いほうがプラスです。根元からリードをまげて取り付けます。

1000uFのコンデンサは、リードを根元から曲げて取り付けます。ぴったりと基板に付くようにしてください。






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