水星の近日点を考える途中だが、惑星の磁場を考えてみたい。地球の磁場は、地球の中心付近にある核の活動によって発生していると考えられている。外核は地下2900kmにあって、ニッケルと鉄が溶けて流動している。この金属の流れが磁場を作っているらしい。
電子工作の世界では、磁場があれば電流があるのが常識だ。外核には強力な電流が流れているはずだが、そのエネルギーはなんだろう? もし自転によるエネルギーなら自転は慣性によるので、あっという間に地球の自転は止まってしまう。金属が流れるだけで磁場が発生するなら、製鉄所は大変なことになる。
どうも、この溶けた金属が流れるというのはかなり無理がある。ところで、太陽系を見ると磁場を持つ惑星は多い。水星、地球、土星、木星、海王星、天王星などが固有磁場を持つ。木星の衛星、ガニメデも固有磁場を持つ。固有磁場というのは、自力で磁場を発生させているということだ。
興味深いのは、岩石惑星とガス惑星では、磁場の方向が逆になっている点だ。天王星は自転軸が磁場の方向とかなり違うので、とりあえず置いておく。水星と地球は、自転方向と磁場が同じ。土星、木星、海王星は自転方向が同じで磁場が逆だ。
https://www.cps-jp.org/~mosir/pub/2012/2012-08-22/09_takehiro/pub-web/09_takehiro.pdf より
岩石惑星は、太陽風により運ばれた電子が地表近くに存在する。岩石が相転移して放出された電子も含まれる。電子は非常に小さいので、誘電体である岩石に浸透するのだ。この大量の電子が自転により回転することで、磁場が発生する。回転は角加速度だからだ。
いっぽうのガス惑星は水素、つまりプロトンが大量に含まれる。電子とは電荷が逆になるので、自転方向は同じだが、発生する磁場の方向は逆になる。木星の磁場が地球の2万倍も強いのは、水素ガスが大量にあって、その線速度が速いのとプロトンの電荷が高いからだと考えられる。
天王星の磁場が自転軸とかなりずれているのは、別の理由があるのかもしれない。