ファラデーの電気力線はまっすぐに進み、干渉したり中和しないと指摘した。電磁波の直進性がその証拠と書いた。すると当然磁場はどうなんだとなる。磁場を考えていくと、自分でもトンデモナイと思える結論に行き着くので、書くのを控えてきたが、書かなければいけないだろう。
ファラデーは磁場、磁界も電界と同じように直進すると考えていた。力能(power)という概念は両方に通じる。しかし一般には磁力線はNとSの間で曲線を描く。
N極から出た磁力線はS極で終端する。しかしこれもN極、S極から真っ直ぐに磁力線が出ていて、物質、この場合は磁性体内部に各々力のベクトルが生じることで、曲がった磁力線が見かけ上生じる。
磁力線は、磁石を手にとっていじると、引力、反発力を手で感じ取ることができる分、イメージを作りやすい。同じ極を近づけると強く反発することから、多くの人は磁力線がゴムのような弾力を持っているとイメージしているだろう。
このゴムのような弾力も、距離の二乗に反比例する力であるために感じる特性である。見かけの磁力線は、鉄粉などを介して曲がるように見えるが、じっさいは真っ直ぐに放射されている。曲がらないのだ。
ところで、磁石を回転させると電波が出るか、というFAQがある。筆者はじっさいに回転させたわけではないが、磁界ループアンテナからも、おそらく電波が生じると思う。電磁誘導では、磁石の近くにコイルを置くと、コイル中に存在する電子ー電荷が力を受けて移動することで電流が生じる。では、磁石単体で回転させたとき、力を受ける電荷はどこにあるのだろう?
これを考えたとき、小一時間思考が固まった。周囲には何もない、やはり空間がエネルギーを持つのだろうかと、一瞬アインシュタインを尊敬しそうになった。しかし気がついた。周囲には空気がある。空気には1cm3あたり1京個も分子がある。宇宙空間でさえ、太陽系内なら100個、銀河間では0.数個存在する。まったく物質の存在しない空間はないのだ。
以前、電磁波は電界と磁場が90度の位相差で互いを生じさせながら伝播すると説明した。このときは漠然と空間がそれぞれ電界、磁界を生じさせているのではないかと考えていた。しかし磁場を考察することにより明確になった。電磁波は、媒質となる原子、電子の磁界、電界を変化させながら伝わるのだ。
空気による音の伝播を考えればわかる。音は1cm3あたり1京個もある分子集団の密度差が伝わる。電磁波は、空気中なら分子の持つ電界、磁界が数珠繋ぎに移動することで伝播するのだ。宇宙空間でも同じ。宇宙空間にある星間物質は、エネルギーが1万ボルト~100万ボルトと高い。密度は薄くてもエネルギーが高いために、陽子と陽子が離れていても電界、磁界の変化が効率よく伝わるのだ。
地上では空気分子が、宇宙空間では陽子、電子が電磁波を伝える。この仮説もいくつかのハードルが残っている。密度の低い銀河間宇宙では、電磁波の減衰が大きいのではないか? エーテルとはどうちがうのか? などだ。しかし、この仮説は従来のように空間に魔法のような役割を持たせる必要がなくなるという利点を持つ。きわめて現実的な仮説だ。
追記:アインシュタインは特殊相対性理論の構築のため、ミンコフスキー空間を導入したが、この空間と言う概念自体が、万有引力と同じで、間違っていたのだ。ある現象を説明するために数学的概念を取り入れると言う手法が、間違いを生んだ。空間は実証されることなく現代物理学に紛れ込み、多くの物理学者の糖分を脳細胞が無駄に消費しているのである。