イタリアの生理学者、Antonio Puccini氏は、電荷を持たない電子の存在を主張している(Neutral Electron Instead of Neutrino: a New Beta-Decay Model)。Puccini氏はカミオカンデなどでのニュートリノ観測を例に挙げて、ニュートリノは中性電子であると結論付けている。通常、中性子のベータ崩壊は次のように表現される。
n -> p + e- + v
このニュートリノが中性電子e0とされるのだ。Puccini氏は論文中でクオーク、e=mc2などを駆使して、論証を行っているが、電荷のない電子という発想は注目すべきだろう。
パイ中間子には、π0が存在する。きわめて短い崩壊時間を持ちガンマ線に崩壊する。
ところで、陽子、電子は素粒子だ。最近、陽子の大きさは置かれた状態により変化することが知られてきた。電子の大きさはわからない。素粒子は、通常イメージするような物質ではない。このブログでは陽子をピンポン玉を使って現しているが、表面があるのか、表面に電子がくっつくのか、わからない。回転するのかさえ、不明なのだ。少なくとも、位置と電荷がぼんやりとわかるだけ、といえる。
たとえば、中性電子を観測しようとしたら、どうやったらいいだろう? 電荷がないので、電気的に反応しない。中性子は陽子+電子なので、磁気が使えるが、中性電子はそれもできない。π0はすでに運動量を持っているので、泡箱で捉えることができるが、静止した中性電子は泡箱に入れることも出来ない。
Puccini氏の主張のように中性電子がニュートリノであるとするのは無理がある。ニュートリノは光速で運動しており、静止させることができないからだ。電気的地球科学が主張する、ニュートリノは電界のきわめて短いパルスとするほうが合理的だ。Puccini氏は別の論文で中性電子はダークマターであると主張している。これも電気的宇宙論とは異なる。
だが、中性電子の存在は否定できない。中性電子が空間にぎっしりと詰まっていて、電荷を与えられると電子になったり、陽子になったりするのだろうか? ディラックの海みたいだ。エーテルと考えることも出来る。遠隔作用との兼ね合いが難しそうだ。
一般に素粒子には、反物質の存在から反粒子があるとされる。数学的対称性の根拠にもなっている。しかし、電荷のプラスとマイナス、それに電荷がないゼロの3つの状態と考えたほうがいい。
すぐに結論を出さずに、とりあえず、保留としておこう。でも中性電子には何かありそうだ。
マントルは地球の体積の大部分を占めており、その主成分はカンラン石だ。地表には、マグマの上昇とともに出てきたカンラン石、カンラン岩を見つけることができる。
wikipediaより
カンラン石の化学組成は、Mg2SiO4と書くが、マントル内部でメタンCH4と反応することで水と二酸化炭素を発生させる。
2Mg2SiO4 + CH4 -> 2Mg2SiO2 + 2H2O + CO2 + 2e-
SiO4から相転移でOが2個離れる。体積が拡大することになる。このとき、結合に使われている電子が2個放出される。放出された電子は、イオンになるか、岩石の隙間に取り込まれる。岩石は誘電体で、結晶構造内に電子を捕獲する特徴がある。
前に書いたが、地球内部には重力が働いていないので、相転移したSiO2と水、二酸化炭素、電子は遠心力で地表に向かって移動する。体積を増やしながらの物質の移動は、地表を拡大させる結果になる。移動する電子が最もたまっているのが、地下275km付近だ。この電子が自転で回転するとシューマン共振のELFを発生させる。また、電子の自転による回転は、地球磁場も生み出す。
誘電体内部に捕獲された電子は、少しずつ地表に向けて移動するが、重力の発生とともに移動のスピードが低下する。電子の移動が低下する深さが地下約10km付近であると推測できる。地震の震源は地下10km付近に集中しているからだ。おそらく重力が発生する場所も10km付近であると考えられる。もし、重力の発生がもっと下なら、海溝の深さもさらに深くなるはずだ。海水の圧力は深いほど高くなるからだ。
地球内部からの大量の電子の発生は地球が巨大な電池であることを意味している。地球内部からのマイナスの電荷と太陽風のプラスの電荷が大気をはさんで向き合っているわけだ。私たちの環境は、地表と電離層の30万ボルトの電位差の中にある。
相対性理論の登場前、物理学上重要なマイケルソン・モーレーの実験がある。この実験装置は光を90度ちがう方向に飛ばして、その位相差を見ることだ。1887年に行われた。当時としては非常に精密な装置だった。
現在では、写真のように比較的簡単に製作できる。
見づらいが、干渉縞も現れた。装置を回転させても干渉縞に変化はない。エーテルはないのだろうか?
エーテルを発見するために組み立てたわけではない。これで何をやるか? 乞うご期待。
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陽電子(positron)について考えてみたい。陽電子はプラスの電荷を持つ電子だ。自然界ではあまり存在しない。電子と陽電子がぶつかると消滅するからだ。対消滅という。陽電子は人工的に作ることが出来るが、電子とペアで出来るため対生成と呼ばれる。
恒星内部では陽子と陽子が融合するp-p反応(p-p chain reaction)が行われているという。p-p反応では陽子と陽子がぶつかって、重水素原子核ができる。陽電子も発生する。
p + p -> D + e+ + ニュートリノ
しかし、この反応は140億年かかる。最近では140億年も待てないため、陽電子を得るために電子ビームをタングステン結晶に打ち込む方法が使われている。電子ビームをタングステン結晶に打ち込むと制動放射でガンマ線が発生する。結晶内部で発生したガンマ線はタングステン原子核の近傍を通ると対生成で電子と陽電子を発生させる。電子ビームと結晶の角度を調整することで、効率よく陽電子が発生する。対生成はエネルギーと物質を等価と見る相対性理論に見合っている。
ところで、陽電子に似たミュー粒子がある。ミュー粒子は宇宙線が地球大気に突入するときに生成され、105.6MeVという高エネルギーを持つ。平均寿命は2.2×10-6秒と短い。ミュー粒子には、陽電子に崩壊するミュー粒子(+)がある。
ミュー粒子(-)→電子+ミューニュートリノ+反電子ニュートリノ
ミュー粒子(+)→陽電子+反ミューニュートリノ+電子ニュートリノ
ミュー粒子の作り方をJ-PARCセンターの記事から紹介しておく。まず、高エネルギーの陽子ビームを炭素にぶつけ、パイ中間子を作る。パイ中間子を超伝導磁石の中を通すと崩壊してミュー粒子に変わる。ミュー粒子には磁極がある。
パイ中間子は、電気的地球科学では原子核内部で陽子と陽子を結合させている電子だ。磁極があるということは、ミュー粒子は内部に電荷と角加速度を持つということだ。「パイ中間子を超伝導磁石の中を通す」ことでサイクロトロン運動をしているのかもしれない。質量が電子の200倍あるのではなく、サイクロトロン運動をしているために大きく見えるのだ。
ミュー粒子は非常に短時間でミューニュートリノと電子ニュートリノを放出して、電子に戻るということは、ミュー粒子は2重の変異を生じた電子そのものであるといえる。ニュートリノは電界のパルスだから、電子の急激な変化により生み出されると考えられる。
いっぽう、陽電子は静止した状態でためておくことが出来る。半減期はない。電荷だけがプラスの状態の電子だ。陽電子と電子がぶつかるとガンマ線を放出する。電子と陽電子は消えてしまうとされている。
また、反陽子と陽子は対消滅するとガンマ線とパイ中間子になる。同じ反物質による対消滅でも、陽子の場合はパイ中間子が残る。ミュー粒子を発生させる際にもパイ中間子が登場した。パイ中間子はミュー粒子を経て電子(陽電子)になる。
うーむ、もしかすると陽子は電子がなんらかの変化を遂げたものかもしれない。また、対消滅、対生成が間違いない反応であるなら、電界を伝える媒質が存在する。エーテルなのだろうか?