アフリカ大陸のグレートリフトバレーは、マントルが上昇して、プレートが裂けている場所だとされる。マントルから岩石や泥、砂が湧き上がった痕跡が至る所に存在する。
では、拡大したプレートがどこかでマントルに沈み込んでいるはずだ。そうでなければ、地球膨張説の証拠になってしまう。しかしグレートリフトバレーの東側を見ても、海溝はない。日本列島の脇にある日本海溝は海洋プレートが大陸プレートの下にもぐりこんでいるためにできた地形とされている。グレートリフトバレーには、日本海溝に相当する沈みこみは見当たらない。
日本海溝を見ると9000mほどの深い溝が太平洋の周囲を取り巻いている。
9000m程度の深さは、地球規模で見るとそれほど極端に深い地形でないことがわかる。太平洋の平均深度は約3000m~4000mあるのだ。
ところで火星の地形を見ると、地球の海溝に相当する地形が存在しないことに気がつく。地球でも陸地にプレートの沈み込む地形は存在しない。
海溝は海水の圧力によってマグマが凹んだ地形なのだ。3000mの海水の圧力が地殻のすぐ下にあるマグマを変形させる。
海溝はマグマの存在と関係していて、その移動の痕跡は地球膨張の歴史を刻んでいると考えられる。地球の海底に海溝が存在する理由だ。
地球内部には引力による圧力が存在するから、マグマにも高い圧力がかかっている。海水の水圧では凹まない、と考えるかもしれない。しかし、「地球はなぜ丸い」で考察したように、地球内部には引力が働いていない。おそらく、地表から10km~40km位下では、引力がないため、圧力もほとんどないと考えられるのだ。このことは、地震の震源が地下10km付近に集中することとも関係している。