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陽電子(positron)について考えてみたい。陽電子はプラスの電荷を持つ電子だ。自然界ではあまり存在しない。電子と陽電子がぶつかると消滅するからだ。対消滅という。陽電子は人工的に作ることが出来るが、電子とペアで出来るため対生成と呼ばれる。
恒星内部では陽子と陽子が融合するp-p反応(p-p chain reaction)が行われているという。p-p反応では陽子と陽子がぶつかって、重水素原子核ができる。陽電子も発生する。
p + p -> D + e+ + ニュートリノ
しかし、この反応は140億年かかる。最近では140億年も待てないため、陽電子を得るために電子ビームをタングステン結晶に打ち込む方法が使われている。電子ビームをタングステン結晶に打ち込むと制動放射でガンマ線が発生する。結晶内部で発生したガンマ線はタングステン原子核の近傍を通ると対生成で電子と陽電子を発生させる。電子ビームと結晶の角度を調整することで、効率よく陽電子が発生する。対生成はエネルギーと物質を等価と見る相対性理論に見合っている。
ところで、陽電子に似たミュー粒子がある。ミュー粒子は宇宙線が地球大気に突入するときに生成され、105.6MeVという高エネルギーを持つ。平均寿命は2.2×10-6秒と短い。ミュー粒子には、陽電子に崩壊するミュー粒子(+)がある。
ミュー粒子(-)→電子+ミューニュートリノ+反電子ニュートリノ
ミュー粒子(+)→陽電子+反ミューニュートリノ+電子ニュートリノ
ミュー粒子の作り方をJ-PARCセンターの記事から紹介しておく。まず、高エネルギーの陽子ビームを炭素にぶつけ、パイ中間子を作る。パイ中間子を超伝導磁石の中を通すと崩壊してミュー粒子に変わる。ミュー粒子には磁極がある。
パイ中間子は、電気的地球科学では原子核内部で陽子と陽子を結合させている電子だ。磁極があるということは、ミュー粒子は内部に電荷と角加速度を持つということだ。「パイ中間子を超伝導磁石の中を通す」ことでサイクロトロン運動をしているのかもしれない。質量が電子の200倍あるのではなく、サイクロトロン運動をしているために大きく見えるのだ。
ミュー粒子は非常に短時間でミューニュートリノと電子ニュートリノを放出して、電子に戻るということは、ミュー粒子は2重の変異を生じた電子そのものであるといえる。ニュートリノは電界のパルスだから、電子の急激な変化により生み出されると考えられる。
いっぽう、陽電子は静止した状態でためておくことが出来る。半減期はない。電荷だけがプラスの状態の電子だ。陽電子と電子がぶつかるとガンマ線を放出する。電子と陽電子は消えてしまうとされている。
また、反陽子と陽子は対消滅するとガンマ線とパイ中間子になる。同じ反物質による対消滅でも、陽子の場合はパイ中間子が残る。ミュー粒子を発生させる際にもパイ中間子が登場した。パイ中間子はミュー粒子を経て電子(陽電子)になる。
うーむ、もしかすると陽子は電子がなんらかの変化を遂げたものかもしれない。また、対消滅、対生成が間違いない反応であるなら、電界を伝える媒質が存在する。エーテルなのだろうか?