現在の地球大気は、窒素78%、酸素21%、アルゴンが約1%、二酸化炭素が0.03%だ。一般には、酸素は植物、とくに植物性プランクトンによって、作られたとされている。鉄細菌、シアノバクテリアは、35億年前の地球の海で盛大に活動して、酸素と鉄鉱床を作り出した。シアノバクテリアが作った鉄鉱床は、縞状鉄鉱石と呼ばれ、世界中に広く分布している。
ところが植物の光合成は、太陽光のある場合は二酸化炭素と水から酸素とデンプンを作る。太陽光のない場合は、酸素を吸収して二酸化炭素を放出する。また植物の遺骸は分解するときに酸素を消費する。植物が光合成により大気中の酸素を増やしたというのは無理がある。シアノバクテリアにしても大量に発生すれば、その遺骸が腐食するときに酸素を消費する。
では何が現在の酸素を作ったのか? また窒素は太陽系では少ない元素だ。窒素の由来はまだ解明されていない。
非常に大胆な予想をしてみよう。地表には毎秒1m^2あたり100個程度のミュー粒子が降り注いでいる。ミュー粒子は大気中の二酸化炭素にぶつかると電子を跳ね除け、電子の代わりに酸素原子と炭素原子の間に居座る。ミュー粒子は電子の直径の約200倍の大きさを持つため、酸素と炭素の原子核が融合する。ミュオン核融合だ。炭素には陽子と中性子が6個ずつ、酸素には8個ずつある。両方あわせると陽子が14個、中性子も14個になる。窒素は原子番号が7だ。
2CO2 + u(-) -> 2N2 + O2
2:1の割合で窒素と酸素ができる。このままでは、窒素66%、酸素33%だが、酸素は反応性が高いので、酸化物を作り大気から減少するのかもしれない。海水に溶ける分もあるはずだ。
また、陽子14個、中性子14個は、Siにもなる。酸素、炭素の同位体もできる可能性がある。この2つの同位体は、考古学で年代測定と気温変動の推定に使われている。もしミュー粒子による核変換が確認されれば、見直さなくてはいけない。氷河期があったとする証拠はゆらいでいるからだ。ミュー粒子は、透過力が高いので、地面の中にも到達する。ミュオン核融合により、重い元素が地球内部で作られているのかもしれない。