ブラックホールは、光を吸収する真っ黒な穴を望遠鏡で観測したわけではありません。不規則に強いX線を放射する天体を電波望遠鏡が発見しました。X線の強度が非常に強いため、その原因は何かを推測することが、ブラックホールの発見といわれているのです。
ブラックホールは、相対性理論の数式から予測された現象でしたが、アインシュタイン自身はその存在を信じていませんでした。物質が何らかの原因で密度を高めると、光さえ脱出できない強い重力が発生する可能性を予測していたところ、1970年代になるとちょうど電波望遠鏡の観測で強いX線の放射が観測されたのです。
X線は太陽も放射していますが、それほど強くはありません。恒星は内部で核融合反応が起きていますが、ごく弱いX線を表面で放射するだけです。X線の作られるメカニズムを考えていたところ、理論的にしかできないと思われていたブラックホールが物質を飲み込む際にX線を放射しているのではないかという推測が行われたのです。
このメカニズムは、中性子星が自転をしていて、マイクロ波を発生させているのではないかという予測と同じで、「科学の暗黙の了解」を満たしたものでした。「科学の暗黙の了解」とは、宇宙は重力だけでその原因を考えるというものです。
じつは1950年代に科学界で一大論争がありました。精神学者のヴェリコフスキーは「衝突する宇宙」を出版、大ベストセラーになりました。「衝突する宇宙」は古代天文学、記録、神話、伝承などを総動員して、金星が木星から生まれ、地球と火星に近づいたと主張したのです。地球に近づいた金星は地表に放電を起こし、大災害が起きました。
「衝突する宇宙」に対してアメリカの科学界は猛反発して、公開討論会が何度も行われました。討論は1970年代まで続いたのです。討論の中で、ヴェリコフスキーは「宇宙で起こる現象は電磁気力による」と主張しましたが、天文学者やアカデミズムはそれを否定したのです。
この論争で明らかになったことは、主流科学と呼ばれるアカデミズム、研究機関では、宇宙で起きる天体現象をもっぱら重力により説明して、電磁気力は排除するという「科学の暗黙の了解」でした。電磁気力はタブーとされたのです。
ブラックホールとされるX線の放射現象を電磁気で説明することは可能です。レントゲン検査ではX線を発生させる真空管が使われています。内部で放電させるとX線は出てきます。宇宙空間は真空です。恒星は強い電荷、電流を持っています。恒星が2つ並ぶ連星は、宇宙では珍しくありません。連星同士で放電すればX線、マイクロ波が放射されます。
宇宙空間での電磁気力を認めれば、ブラックホールよりはるかに合理的にX線の原因を説明可能です。