ロシアの北極圏シベリアでは、突然大きなクレーターができることがある。誰もいない場所なので、どうやって穴ができるか原因不明とされている。
クレーターの特徴は、衝撃波によるリムがきれいに形成されていること、下側の穴はほぼ垂直で壁面は滑らかである。また相当大きな穴にもかかわらず、周囲に飛び散っている土砂はそれほど大量でもない。
クレーターを調査したロシア人は、土中のメタンが爆発したのではないかと結論付けている。しかし、この実験を見てほしい。
ワインボトルに砂を入れ、下から上に放電させている様子だ。砂を通り抜けた放電が穴を作る様子がよくわかる。これは誘電体バリア放電という現象で電圧が変動する高電圧で起きる放電現象だ。通常、岩石やガラスは絶縁体だが交流成分があると電気を通す。
電気的地球科学では、地下には大量の電子が溜まっていると指摘した。地下から大気に向けて放電があってもおかしくない。電位の異なる電子が大量に溜まっているなら、見かけ上交流成分となるからだ。
穴の垂直部分が滑らかなのは、放電の衝撃波で固く圧縮され、土が岩石化しているからだ。穴の大きさに比べ、周囲に噴出した土砂が少ないのも、圧縮されて堆積が縮んだからだ。穴の縁には、地表で見かける放電地形と同じ衝撃波の模様が刻まれている。シベリアだけでなく、フロリダなどで見かけるシンクホールも同じ放電でできたと考えられる。
じつは惑星内部から宇宙に向けて放電が起きるのは珍しくない。土星の衛星エンケラドゥスでは、明らかな放電が観測されている。間欠泉ではない。