たとえば、電池を直列につなぐと電圧は加算され、2倍になる。ファラデーの電磁誘導でも、1次コイルに対して2次コイルの巻き線比が2倍なら、生じる電圧は2倍になる。トランスの場合、2次コイルは1次コイルの長さの2倍の銅線を使う。すると、1次コイルに交流電圧をかけた場合の2倍の自由電子が2次コイル側で振動することになる。
ここで電界の伝播が遠隔作用であることを思い出してほしい。自由電子の動きは隣の電子に伝わるが距離はほとんど関係なく一瞬で伝わる。つまり電子が隣り合っている状態と同じだ。前項で電圧は電子の大きさではないかと推測した。2次コイル側では、1次コイルで振動する電子の2倍に積み重なった電子が振動することになる。
このことからわかるのは、電圧とは電子の大きさに比例することだ。しかし、1つひっかかることがある。ミュー粒子は電子が励起した状態だ。大きさが増えるなら、ミュー粒子の透過性はどのように説明できるだろう? もともと電子は非常に小さくて、物質を素通りできるのかもしれない。通常は電子、原子の電界が邪魔をして通りにくくなっている。しかし、宇宙線で発生するミュー粒子は光速よりも速度が速い。電界の束縛を振り切って進むことが出来るのだろう。
電界は遠隔作用なので、電子同士には距離がない。