一般には、自然界の背後にある単純な法則を導き出すのが、自然科学と考えられていますが、これは間違っています。自然は数学で記述されるべきだ、というピタゴラス主義です。科学以前の宗教、思想です。
実際の自然は非常に複雑な現象です。このブログでは、自然現象の複雑さを考えてきました。たとえば、宇宙と地上の重力は違います。地上の重力は、地球内部の構造から発生する電磁質量であることを説明しました。電磁質量から宇宙空間の電気引力・斥力に変化する仕組みもあります。質量が重力を生む、という単純な仕組みではなかったのです。それを単純化して、数式で表しているのが現在の科学です。重力は互いの距離の二乗に反比例するとしています。これは、自然のマンガ化です。ディテールを捨てて、自分が見えている部分だけを取り出した戯画といえます。
歴史を見ると、同じマンガ化が何度も行われてきました。ファラデーは電磁気に関する実験からたくさんの法則を得ました。それを数式にしたのはマクスウエルです。しかし、マクスウエルの導き出した数式にファラデーは大反対しています。ファラデーの考えていた電気力線は、途中で中和するものではありませんでした。プラスとマイナスの電気力線は途中で中和することなく、対象に届き、物体内部でベクトルが合成されます。また、電界と磁界は交換可能な関係ではありません。電界の変化は磁界を生みますが、磁界の変化は、周囲にある荷電粒子を動かすことで電界の変化になるのです。マクスウエルは数式にするために、ファラデーの実験結果を捻じ曲げてしまったのです。
ニュートンも同じことをしています。17世紀、天文家は惑星同士がなぜぶつからないかを考えていました。天空で奇妙な運動をする惑星は、不思議なことにぶつかりません。また、飛び去ることもありません。惑星には、互いに引き合う力と反発する力があることが、当時の天文家の間では知られていました。ところが、天文観測の素人であるニュートンは、惑星の運動を数式にするために反発力を無視してしまったのです。引力と反発力を入れると3体問題になって、当時の数学では扱いきれなくなるからです。ニュートンの万有引力は発表してすぐに受け入れられたのではなく、100年間に渡って批判されました。カントはニュートンの万有引力では、宇宙はひとつの塊になると、星雲論で指摘したのです。ケプラーは観測から惑星の運動が楕円ではなく、螺旋であることを知っていましたが、これも、数式に直すことが出来ないため、無視されました。
光の速度を正確に測れば、そのつど光速が微妙にばらつくことが知られています。精度を高くすればするほど、ばらつくのです。これは光が空間ではなく、周囲にある空気分子を媒体にしているからです。気圧が変化すると光速も変化するのです。このような実験結果を無視して、光速は不変だとされています。重力波の観測も、デジタルフィルターを都合よく変えることで得られた信号を見ています。地震波による地球内部の構造もデータに都合のよい「重み」をつけられた結果です。
私たちの科学は自然をありのままに見ているのではないことに気がつくべきでしょう。