地球がどうやってできたのか、見た人はいない。しかし科学はまるで大昔に帰り見てきたように地球の過去を語っている。原始太陽系では、無数のチリや小惑星が回転していた。それが互いにぶつかるにしたがって、徐々に大きな塊に成長していく。微惑星だ。微惑星同士はまた衝突を繰り返し、互いに大きさを競った。ついにそのなかでも大きな微惑星が現在の地球の位置に居座った。この原始地球は衝突のエネルギーでどろどろに溶けていた。マグマオーシャンと言う。地球内部にコア、マントル、地殻といった階層構造があるのは、マグマオーシャンのとき、引力で比重の重い物質が中心に落ち込んだのが原因だ。しかし落ち着いたと思ったその数千万年、あるいは数億年後、再び自分より少し小さな惑星が衝突した。衝突の衝撃はすさまじく、地球は中心にもう少しで及ぶほどの損害を受けて、中身を吐き出した。その一部は、回転しながら、小さな衛星になって、地球の隣にとどまることになった。
これがジャイアントインパクト説による、地球と月の成因だ。地球が公転しているのは、ちり芥のときに得た慣性力であり、軸が少し傾いて自転しているのも、数十億年前の衝突で得た慣性力なのだ。数十億年前に地球は永久運動に入ったらしい。
ジャイアントインパクトからまた数億年経って、現在より38億年前に粘土鉱物の鋳型に偶然入ったアミノ酸が`遺伝子の原型を作った。自己複製ができるまで何年かかったかは不明だが、原始的微生物が誕生した。生物の進化は省略する。
地球の成因と生命の誕生は概ねこのように考えられている。しかしこのストーリーには、原理的におかしな箇所がいくつかある。まず、小惑星や岩石が衝突すると反動で吹っ飛んでしまい、合体することはない。彗星や小惑星に着陸しようとした観測機が、バウンドしてうまく着陸できなかったことからも、微小重力下では、微惑星は衝突して合体することはできない。したがって、衝突で大きな惑星が生まれることはない。衝突のエネルギーでどろどろに融けたマグマオーシャンもないことになる。
初期の地球に火星ほどの惑星がぶつかったジャイアントインパクト説もおかしい。もし火星ほどの惑星がぶつかって地球が粉々になったとして、そのかけらが重力でまとまることはない。ぶつかってばらばらになって、どこかに飛んでいくだろう。月はまったく別の原因で地球にとらわれた衛星だ。
また、いくら真空で無重力の宇宙でも、何十億年も一度得た慣性力だけで、惑星が公転し続けたり、自転することはできない。宇宙空間にも微小な物質があるので、抵抗が生まれる。地球は太陽からの太陽風プラズマを受けているので、非常に大きな抵抗の中を、公転し、自転している。なんらかの動力がないと止まってしまう。
ではどうやって地球は生まれたのだろうか? それは60個以上も衛星を持つ木星にヒントがある。金星は3500年前に木星からやってきたという目撃も残っている。金星と同じように地球も木星からやってきたと考えられる。一部では地球は土星から生まれたとする場合もあるが、それだと土星の輪が壊れてしまう。土星の輪はそれほど古くないというが、地球も想像よりずっと新しい惑星だ。何回かに分けて、地球の生まれた原因と太陽系の歴史を考えてみたい。