量子力学では素粒子を2つに分ける。フェルミ粒子とボーズ粒子だ。電子、陽子などの電荷をもつ粒子はフェルミ粒子だ。光子は電荷をもたないのでボーズ粒子ということになる。
フェルミ粒子は、たとえば電子なら原子核周囲の軌道上には、同じスピンの状態で1つ以上の電子が入らないというパウリの排他律(原理)がある。パウリの排他律は経験的にわかったもので、その原理は明らかではない。
YAKUGAKU LABより
それぞれの軌道に入る電子の数は以下の通りになる。
wikipediaより
静的原子模型では、軌道上の電子は原子核の正負の電荷と陽子振動によるガンマ線の定在波でゆるくつながれている。もっとも簡単なヘリウム原子は次のようになる。
原子核を点対象として対角線上に電子が位置し、互いの電荷で反発するため、常に対称性を保ちながら動いている。この対称的な動きがスピンだ。
ヘリウムの場合はK殻しかないが、外側に行くにしたがって入る電子の数が増えるのは、原子核を挟んで電子同士の電荷が弱くなるからだと考えられる。ここではK,L,Mと円軌道として描かれているが、じっさいには原子核の凸凹と対応した非常に複雑な軌道をとっていることが予想できる。L,Mなどは内側の電子との斥力もあるのでさらに複雑さを増すはずだ。
1920年代に主張された核内電子説が廃棄された理由として、不確定性原理によって推定された原子核内の電子の速度が光速を超えること、また、原子核内部に存在する陽子と電子のスピンが合わないことが挙げられている。
核内電子の速度は、不確定性原理からの予想なので、無視していいとして、スピンの数については、原子核内の電子は固定されているので、スピンはないとできる。スピン自体が原子核の電荷との相互作用によって現れた現象なので、原理でも律でもない。
核内電子説は否定されたのではなく、誤解されたのだ。