月刊ムー2020年3月号の特集記事では地球の地形がどのようにしてできたかを説明している。紙面の都合上、詳しく説明できなかった個所を補ってみたい。これまで惑星規模の放電が地形を形成してきたと説明したが、具体的にどのようにして地形が出来たかは触れないで来た。
電気溶接を例に取ると放電には3種類ある。巨大な惑星間の放電と電気溶接は無関係と思うかもしれないが、プラズマによる現象はスケールが違ってもパターンは共通している。
電気溶接は大きく分けると直流と交流がある。惑星間の放電は大方直流であると考えられる。惑星双方の岩石に蓄えられた電荷が電流源だからだ。電荷の電位差が放電の原因になる。直流放電では、プラスとマイナスの違いが大きい。たとえば、溶接棒がマイナスの場合、金属は溶接棒から母材(溶接する金属)に大きく移動する。また母材の奥深くに電流が流れ込むので溶ける深さが深くなる。要は溶ける面積は狭いが深く溶けて金属が大量に母材側に移動する。逆に溶接棒がプラスで母材がマイナスの場合、溶ける範囲は広がるが深さは浅い。移動する金属も少ない。
この極性の違いは惑星では生じる山とクレーターの違いとして現れる。火星の半分はクレーターが多い。マイナス側として放電したためだ。
プラス側になって放電すると山ができる。火星のオリンポス山などが該当する(しかし、後で解説するがこれには疑問もある)。
電気溶接には、磁気吹きという現象が起きることが知られている。放電が自らの磁場で曲がるのだ。
日本列島の山には磁気吹きが作ったと思える地形が残っている。しかし、火星のオリンポス山などの山には、この地形が存在しない。大気が薄いせいだという説明もできるが、大室山そっくりの地形もあるので、オリンポス山の形成には、放電だけではない要素があると考えている。
赤色地形図で見ると日本列島はひだのような地形でおおわれている。噴火口のない山は、隆起した土地が長い間の浸食で作られたとされる。しかし、このブログでも指摘したように浸食されて流れたはずの土砂はどこにもないのだ。
地表を覆う山々は、地球がプラス側として放電を受けたために形成された、電気溶接でのスラグということになる。これは岩石に塩基性成分が多いことが示している。溶接スラグもアルカリ性、塩基性の成分でできている。月の岩石が地球と同じ成分であるのは、月がマイナスのため、月の表面の岩石が放電のスラグとして地球に降り注いだからだ。
私たちが日ごろ目にしている山は、放電によってあっという間に作られたのだ。