天動説から地動説に替わったのは、地動説のほうが惑星の運動をよく記述できていたからだと言われている。しかし、実際には天動説のほうが惑星の運動を正確に記述していた。天動説では古くから周転円という概念を使って、惑星の逆行などを説明していたのだ。
だが、周転円を使った惑星軌道は非常に複雑で、コペルニクスはなんとかしてこれを単純化しようと試みたらしい。
(参考:http://www.ariga-kagakushi.info/story/copernicus.html)
天動説は惑星の軌道を大変よく記述できるが複雑なところが難点だった。これは現在のビッグバン宇宙論によく似ている。電磁気力を排除して、重力だけで宇宙を描こうとしているため、ここかしこで修正するための概念を導入している。ダークマター、インフレーションがそうだ。最近では宇宙が膨張するためのエネルギー、ダークエネルギーまで持ち出してきた。量子力学も同じだ。波動関数を使って軌道上の電子の動きを説明している。周転円が実際には存在しないのと同じでダークマター、波動関数も存在しない。存在しない概念で自然を描こうとしている。
コペルニクスが地動説を主張してからこれが周知されるまで、100年以上かかっている。天文家や知識人は天動説から地動説に宗旨替えしたのではない。天動説を信仰する人々が死に絶えることによって新しい概念である地動説が主流になった。一度信じてしまった概念、思考の枠組み―パラダイムを個人のレベルで変えることは非常に難しい。カルトに落ちた人間を救い出すのと同じように難しいのだ。
電気的宇宙論、常温核融合などの新しいパラダイムは、専門家に対して訴えるのではなく、これから自然科学を知ろうとしている人々に宣伝したほうがいいだろう。電気的地球科学もそうだ。新しい理論を教育された専門家に説明するのは、宗派の違う牧師を折伏するようなものだからだ。それだけに既存の科学にとって代わる理論は、自らが科学であることを確認する必要があることはいうまでもない。