陽子から電子が離れるとき、陽子に電子が結合するときにニュートリノは発生する。中間子が崩壊―半径が小さくなる時にも発生する。いずれも電界の変化があるときなので、ニュートリノは電磁波であると予想している。なにより発生した瞬間に光速で飛んでいくのは電磁波である証拠だろう。静止した、あるいは速度の遅いニュートリノも観測されていない。
ニュートリノはベータ崩壊の時に説明のできないエネルギーの欠損があることから予想され、発見された。1930年代にその存在は予想されたが、観測されたのは1950年代の後半だ。約30年かかっている。なぜかこの時点ですでにニュートリノは粒子であると考えられている。不思議だ。その後、ニュートリノにはいくつかの種類があることが分かった。電子ニュートリノ、ミューニュートリノなどが発見された。ニュートリノには質量があるのではないかと早くから予想されていたが、じっさいに観測されたのは20世紀も終わりのころ、1998年だった。カミオカンデで太陽ニュートリノを観測したデータから、ニュートリノ振動が判明したのだ。
しかし、ニュートリノ振動とされるグラフをよく見ると、地球内部を通ってきたニュートリノが予想よりも少ないのを、ニュートリノが途中で別のニュートリノに変化したと捉えているのだ。
ニュートリノが電磁波であるとすれば、地球内部を通り過ぎてきた結果、減衰したと考えられる。電気的地球科学で予想しているニュートリノは、原子核を媒質にして伝わっている。原子核に突入したニュートリノは陽子振動を起こして、原子核の周囲にガンマ線の定在波を生み出す。これが電子軌道をとびとびの状態―量子跳躍として安定させる。つまり、太陽から放出される膨大なニュートリノは、太陽系に存在する原子を維持しているエネルギー源なのだ。
おそらくニュートリノ密度の変化は原子の振る舞いに影響を与えている。衛星軌道で原子時計が遅れるのもニュートリノ密度が地上よりも少ないからだろう。ニュートリノは宇宙空間に行くとさらに減少する。太陽系の外、銀河の外でもニュートリノ密度は少ないが、さらに少ないのはボイドだ。銀河集団の分布から、物質がほとんどない空間が宇宙には存在する。そこではニュートリノ密度も相当減っているはずだ。量子跳躍が維持できなくなると原子はどうなるだろう? 陽子と電子の結合が崩れていくと、原子は陽子と電子に崩壊することが予想される。つまり、星間物質に戻るのだ。
星間物質の流れから恒星が生まれ、複雑な原子が融合され、ガス惑星、岩石惑星が作られる。その間、星間物質は流れ続けるが、星間物質の流れが止まると、原子を維持しているニュートリノも供給されなくなる。原子は星間物質に戻る。宇宙に漂う陽子電子は、遠くの銀河からの電界を受けて移動するだろう。弱い光は陽子電子を少しだけ励起する。再び星間物質は流れ始め、恒星を生み出すサイクルが回りだす。
五劫の擦り切れは3千年に1回、天女が降りてきて、羽衣の裾で岩を撫でるが、その岩が摺り切れてなくなる時間を一劫という。気の遠くなるような時間だが、宇宙の物質循環は五劫よりもはるかに長い時間が必要かもしれない。