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ニュートンは万有引力を発見したといわれているが、その発想は同じ時代に生きたフックなどとの文通から生まれた。ガリレオ、ケプラーなどの観測に依存していたことは間違いない。ニュートンはプリンキピアを出版する前、地表の重力から類推して月の軌道を計算した。地球上の重力と惑星間、宇宙空間に働く重力を同じものと見た。これは現在も続いている。
物体間に働く重力を実証したキャベンディッシュの実験と同じく重要なエドベシュの実験がある。やはり鉛の玉を使い、両者が引き合うはずの力を計測した。地球の遠心力と重力が同じ力であることを証明したといわれている。慣性質量と重力質量が同じである、等価原理の証明である。現在の相対性理論は、等価原理の上に成立している。
しかし等価原理にしても、地表の重力と惑星間の重力が等しいという前提に立っているのだ。地表と宇宙空間の重力が異なるという現象はいくつも見つかっている。惑星直列は、主に日食で見られる現象で、コリオリの力が反対になったりする。地球を使った衛星のスイングバイ、地球の近くをぐるっと回って加速する、でもおかしな速度変化が観測されている。
また、海の底、海溝は1万メートル近い深さがあるが、ここでは重力が軽くなる現象がある。海溝の重力異常は、宇宙空間の重力と地表の重力がちがう原因であるからと考えられるのだ。
電気的宇宙論では太陽は星間物質を飲み込んで輝く、巨大なプレート、正極と考えられている。真空管のプレートと同じでプラスに帯電している。太陽からは、陽子(プラス)と電子(マイナス)が太陽風として吹き出している。惑星は太陽風にさらされて、帯電している。
地球の場合、大気の持つ不思議な整流作用のせいで、地表がマイナス、電離層がプラスに帯電している。フツウの説明では、地球は離れれば、プラスとマイナスが中和して、中性の電気しかもたない、といわれている。しかしこれは間違いで、いくら離れていても、プラスとマイナスは太陽に対して電気引力、斤力が働く。
太陽のプラスと地球のマイナスは引き合う、太陽のプラスと地球のプラスは反発する。電気引力と電気斤力が釣り合っている。これが宇宙空間で働く、重力なのだ。彗星は、太陽風が強く吹く公転面から離れた軌道を取る。マイナスに強く帯電している。
「電気で見た宇宙と地球」
では地表の重力は何か? 地球の表面と50km上の電離層には30万Vの電位差がある。地表付近では1mあたり100Vの電位差があって、微弱な電流が流れている。ファラデーは鉛が反磁性体であることに気がつき、キャベンディッシュの実験の間違いを見抜いた。そこで重力は電磁気力であると仮定、大気に流れる電流を測定しようとした。
大気に電気があることはすでにフランクリンなどの実験でわかっていた。ファラデーは電磁気力が周囲の空間に影響を及ぼすと考えていた。重力もまた電磁気力であると考えるのは、きわめて自然なことだった。残念なことにファラデーは重力を電磁気力であると証明することは出来なかった。現在わかっているのは、大気中に流れる電流は1m2あたり1ピコアンペア(10-12E)で、とてもファラデーの時代の測定器では検知できない少ない電流である。
海溝で重力が少ない理由は、海水の電気抵抗で電位差が大気より低いためだと考えられる。また人工衛星は、高度100km以上の軌道を取るが、大気が地表の10万分の1で、電離層の電位差も飽和している。また月の表面にはきわめて薄い電離層が存在していて、電位差もある。
しかし微弱な大気電流と電位差がどのようなメカニズムで重力を生んでいるのかは、まだわかっていない。電気的宇宙論の中心メンバー、Wal Thornhillが提唱する電気的重力は、原子内部で原子核と電子が両側に配置され、一種のダイポール構造をとっていることが電気重力を生む、としている。
いずれにしても、現在の重力理論には大きな瑕疵がある。重力が空間の曲がりとして説明され、重力波が光速でしか伝播しないことにされた。現在の重力理論は銀河の回転はおろか、太陽系の公転も説明できない。
ニュートンは万有引力を発見したのではなく、当時の天文学者が抱いていた引力を数式で表現したことで注目された。アインシュタインもまた一度も実験をしたことがなかった。相対性理論は力学をマクスウエルの方程式に乗せ変えただけだった。現在の物理学は、2人の実験をしない理論家によって作り上げられた。しかも社会的構造によって覆すことが難しい状態になっている。
もはや、新しい重力理論は、ただ論文や情報として提供されるだけでは、受け入れられることがないだろう。ただひとつは、反重力を実現する、フックやファラデーのような実験家の登場を待つしかない。