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彗星には尾が2つあることが知られている。しかしもう1本あるのはあまり知らないと思う。一般の解説では、彗星が太陽の近くに来ると、太陽の熱でガスが噴出し始めて、太陽の反対側に尾が出来るとされる。彗星は氷とチリでできているからだ。
しかし彗星がきたない氷の塊というのは、観測衛星によって否定されている。彗星は小惑星のような岩石なのだ。ではなぜ尾が出来るのだろうか?
somet67Pはただの岩石
彗星の軌道は太陽系の公転軌道から大きく外れている場合が多い。多くは公転軌道の上下に膨らんでいる。いっぽう太陽から噴出す太陽風は、ほぼ公転軌道に水平に出ている。じつは公転軌道から外れると、宇宙空間には星間物質として電子が優勢になる。この電子が優勢の空間を彗星が飛ぶ間に、内部に大量の電子がたまっていくのだ。岩石は電子をためやすい誘電体だからだ。
彗星が太陽に近づくと、太陽風の影響で輝きだす。太陽風の成分は電荷がプラスの陽子とマイナスの電子だ。このプラスに対して放電が始まる。ぼんやりと彗星を取り巻くコマだ。また、放電はマイナスに対して反発するので、太陽の反対側に長く延びる。放電で生じた細かなチリと電子の放出の2つが生じる。ダストテイルとイオンテイルだ。ダストテイルは太陽風の電子に伴う磁場の影響で、少し曲がる。
さて、3本目のアンチテイルは、太陽にもっと近づいたときに見ることが出来る。太陽のプラズマは巨大なプラスの電荷を持つため、彗星の電子が引き付けられ、鋭い尾となって現れるのだ。
これでも彗星は氷とチリから出来ているので、ガスが吹き出ていると考える人は、食品のフリーズドライを考えてみるといい。真空中に置かれた氷は、昇華されて水分がなくなる。氷は真空中では長時間存在できないことを忘れずに。