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真空とは、空気がない状態のことだけれども、じつはまったくない状態を作るのは難しい。私たちの日常にも真空は存在する。少し前なら、テレビのブラウン管、真空管のなかがそうだった。しかし真空といっても空気がまったくないわけではなく、1cm^3あたり10^12~14くらいの分子が存在する。1気圧では2.9x10^19個なので、1万~10万分の1程度の差しかないことがわかる。
http://www.asahiseiki.co.jp/vacuum/about_vacuum より
真空管レベルの真空度は、100km上空のオゾン層の上、オーロラが発生する高度に相当する。人工衛星などが飛び交う300km以上上では、10^9と分子の数が減少する。これがバンアレン帯の外側になると10^5程度となる。太陽系の外では急激に分子が減少して、1cm3あたり2,3個になる。太陽系の中は、太陽風の影響で、真空度が低い状態だ。
それでも、真空管内部より7,8桁も分子が少ない。これがどういう現象を起こすのか、想像してみてほしい。真空管内部では、ヒーターによって金属片が熱せられ、プレートにプラスの電圧がかけられる。すると熱電子がプレートに向けて放射される。真空管内部で熱電子そのものを見ることはできない。電圧が低いため、電子のエネルギーも低いからだ。放電の状態は暗放電というもっとも低いレベルになる。
また、重要なことは、太陽系内では太陽風の成分であるプロトンと電子が充満しているということだ。荷電粒子の流れは、そのまま電流になる。宇宙空間には電流が流れている。地球付近では太陽風の電子は4,5MeVのエネルギーを持っている。40~50万ボルトに相当する。高電圧を持った荷電粒子が地球に吹き付けている。
このような状態をイメージすると地球の公転や自転が、太陽系ができたときの回転や数億年前に起きたといわれる大衝突の慣性で維持されていることは、とても信じがたいことになる。太陽系内にはとてつもない大電流が流れ、電磁気力が吹き荒れているからだ。慣性でちんたら回っているなんて、あまりに空想的だ。