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たまに飛行機に乗ることがある。窓から見る景色にはいつも興味深いものを発見することがあって、晴れた日の飛行機は大好きだ。ところが雲が視界をふさぐこともある。
着陸するために飛行機が高度を下げていくとき、雲が下にあると、機体ががたがた揺れることがある。たいていは気流が悪くて揺れるのだと考えるが、あるとき気がついた。気流が飛行機を揺らすほどなら、雲が吹っ飛んでしまうはずだが、まったく動いていない。
ところで飛行機が飛ぶのは翼に揚力が働くためと考えられている。こんな具合だ。
しかしこの説明ではおかしなことがある。ジェット旅客機が飛ぶ高度は7000m~1万mだ。この付近の気圧は地上の半分から3分の1しかない。空気の圧力差が揚力を作っているのなら、飛行機は離陸時の3分の1の揚力しかない高度を飛んでいることになる。落ちないのだろうか? スピードが十分にあるから揚力も飛行機の重量を支えるだけあるのだ、という説明がある。しかし戦闘機の中には高度が2万メートルにも達する場合がある。地上の20分の1以下、ほとんど気圧がない高度だ。
揚力は、流体の密度に比例、速度の2乗に比例する。離陸時の飛行機の速度は約時速300km、高度2万メートルで時速800km~900kmとすると、密度は1/20、速度は3倍の2乗で9倍になるので、揚力は約半分しかなくなる。
なぜ、こんな気圧の低い中を飛べるのか?
じつは気圧の説明で、大気は宇宙線で電離していて、高度が高いほど電離度が高い、と書いた。つまり翼に働く揚力は、空気の弱いプラスが翼をプラスに帯電させることで、空気のプラスに対して反発力を持つからなのだ。空気の流体による揚力+電気反発力が飛行機を持ち上げている。高度が高くなって圧力が減少しても、電離度が高くなるため、電気的反発力も増えるというわけ。
飛行機に乗っていて、下に雲があると、機体ががたがた揺れるのは、雲の持つ電荷のせいで揚力が細かく変化するためだった。