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意識の発達と砂糖の歴史

2018/02/16

Permalink 18:25:31, by admin Email , 0 words   Japanese (JP)
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意識の発達と砂糖の歴史

10年位前に書いた短文です。書いていたサイトがなくなってしまったので、再枲してみます。

ヒトがほかの動物と大きく異なる点に体脂肪瞇の多いことが上げられる。たとえばヒトに近いチンパンジーを見ると腕や足は筋肉がついているだけで、ほっそりとしている。ヒトはかなりやせないとチンパンジーのように筋肉だけの身体にはならない。

体脂肪瞇が高いのは、脳を大きくさせるためだといわれている。脳はそのほとんどが脂肪でできている。人が脳を大きくできたのは、肉食を恒常的に行えるようになったからで、それは狩猟枡集において技術的な飛躍があったからだ。道具の発達が肉食を保証してくれることになり、肉食の効果は脳に至り、知能の発達を促した。どちらが先に起こったかはわからないが、ヒトは結果的に現在の巨大な脳を獲得することに至った。約5万年前だ。

脳が大きくなったといえ、意識が現代人と同じになったわけではない。意識の発達にはさまざまな要因が重なる。言葉、文化、技術などが意識との相互作用を行いながら、互いに複雑さを増していったことが想像できる。意識の発達は、記憶が重要な役割を果たすわけだが、記憶は脳の内部だけにとどまらず、言葉を通じて外部にも及ぶ。

意識の発達は地理的要因にも左右されている。鉄鉱石と石炭の存在が早くから中国に製鉄技術をもたらしたように、サトウキビの分布は、文昞の発達に大きな影響を丞えている。脳が活動するために必要とする栄養はブドウ糖である。体内ではでんぷんを分解することでブドウ糖を得るのだが、手っ取り早いのは、外部から摂取することだ。

サトウキビは約8千年前にインドネシアで栽培化された。これがインドを経由して中近東に伝播する。4世紀になるとアレキサンダー大瞋がサトウキビを発見する。中国では漢の時代からサトウキビ栽培が行われていたが、唐になると本格的に砂糖の生産がはじまる。しかしヒトが大量の砂糖を摂取できるようになったのは15世紀以降で、地中海で生産していたサトウキビがアメリカ大陸に栽培されるようになってからだ。

モマや技術は歴史として多くのことが残る。しかし人間の意識は、テキスト、事柄を読み解くことでしか、その変化を知ることはできない。そこでよく知られた問題点をあげ、意識と砂糖のかかわりを考えてみることにする。

近代科学は西洋で発達した。近代科学と技術は渾然一体となって現在の西欧優勢の社会を生み出したわけだが、なぜ近代科学が西欧で最初に発達したかは、科学史における一大テーマとなっている。ひとつの回答として、西欧社会でのキリスト教の役割があげられる。一神教の世界観が近代化科学を生み出した。中国、イスラム圏では多神教の影響で近代科学を発展させることができなかったというのが、一応の答えになっている。

しかし、一神教と多神教の対比には多くの異論もあげられている。イスラム社会も中国も、かなりいい線まで科学を発達させたという歴史を持っているからだ。「いい線」というのが微妙なところだが、西欧社会に先駆けて科学を発展させたのは事実だ。それが、近代産業の発達に結びつかなかったという点に、歴史上の大きな差がある。

イギリスを例にあげると、17、8世紀に科学革命が進行中のことを調べてみると面白い事実がある。イギリスの科学者は当時流行していたカフェに集まり、議論を重ねた。カフェで好んで飲まれた飲み物は、砂糖をたっぷりと入れた紅茶だった。科学者ばかりではない。カフェからは多くの文学も生まれたし、経済の分釞では保険業、証券業が生まれている。イギリスでは16世紀ごろから砂糖の消費量が拡大、18世紀には労働者隞級も大量の砂糖を摂取するに至った。中国、イスラムの科学はごく一部の科学者が知識を占有するにとどまったが、イギリスでは文学などを通じて広く市民が科学知識を共有することになった。

中国、イスラム社会でも砂糖は消費されていたが、西欧社会では地中海周辺で生産された砂糖が新大陸で生産されるようになると大量に輸入され、文字通り社会の隅々まで砂糖が行き渡るのである。19世紀のイギリスでは下層労働者の朝食に安価な砂糖シロップが出されていた。日本では砂糖が高価な嗜好品から一般的な食品になるのは、昭和30年代後半である。中国では現在も砂糖の供給が少なく、人口甘味料が使われている。

日本で砂糖が消費されるようになったのは、南蛮貿易によりもたらされたのがきっかけだった。当初はたいへんな貴重品だったものが、次第に輸入量は増えていき、江戸中期にはなんとか庶民の口に入るまで普及した。出島での貿易に占める砂糖の量は相当な割合だったらしい。

輸入に頼っていた砂糖は、江戸後期になるとサトウキビが国内で栽培されるようになり、急速に価格が下がっていく。サトウキビの栽培は西南諸国、とくに薩摩藩が多かった。坂本竜馬はいつもコンペイトウを持ち歩いていたと伝えられるが、下級武士が容易に買えるほど価格は下がっていた。西郷隆盛の好物は、甘いたれにつけて焼いたウナギだった。

昞治維新を考えると不思議な現象に気がつく。度重なる飢饉が頻発していたのは主に東北地方だったから、当時の幕藩体制に不満をもっていたのも東北と思われるが、逆に東北の各藩は幕府を擁護するほうに回る。幕府に不満を持ったのは裕福な西南諸藩だった。

フランス革命以前、フランスでは砂糖菓子の大流行があった。フランス革命に先駆けて、イギリスで起こったピューリタン革命でもイギリス国内では砂糖の大量消費が行われていた。19世紀にビートから砂糖を精製する技術がドイツで開発される。サトウキビの枡れない寒冷地でも砂糖生産が可能になる。それと呼応するようにロシア革命が起きる。残念ながらロシア革命と砂糖消費の関連を示す資料はまだ入手できていない。

このように近代に起きた重要な歴史の背景には砂糖があったのだ。

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人間が作ったものをどのように壊すことができるかを合理的に考察するのが破壊学です。現代科学にターゲット絞って考えています。 〞電気的地球科学』には、さらにくわしい解説があります。 このブログに書いてある内容を引用する場合は、出所を昞記してください。
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