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宇宙から大気に突入してくる宇宙線がある。宇宙線の多くは陽子が90%、ヘリウム原子核が9%を占めている。宇宙線はほとんどが10^18eV以下のエネルギーしか持たないが、まれに10^20~10^21eVのエネルギーを持つ超高エネルギー宇宙線(ultra-high-energy cosmic ray)が観測される。
たとえば、陽子が1個、光速で飛んでいる場合のエネルギーは次のように計算される。
E = 1/2mv^2
m = 1.67x10^-27 , c = 2.99 x 10^8m/s
E = 0.5 x 1.67x10^-27 x (2.99 x 10^8)^2
= 0.75 x 10^-10J
1J = 6.241 x 10^18eV
E = 4.68 x 10^8eV
これは運動エネルギーなので、陽子自体が持つ電荷は含まれない。陽子1個が大気に飛び込んでくると、酸素原子、窒素原子などに衝突して、さまざまな粒子が生じて地表に降り注ぐ。1個の陽子から1000億個の粒子が発生するといわれる。
空気シャワー、proton shower という。大量に発生する粒子は、パイ中間子、ミュー粒子、中性子、電子のほか、ミューニュートリノ、電子ニュートリノなどがある。
ところで、宇宙線の中には10^18eVより大きなエネルギーを持つ超高エネルギー宇宙線と呼ばれる非常にエネルギーの高いものがある。とくに5x10^19eVより大きなエネルギーを持つ最高エネルギー宇宙線 (EECR)の存在がある。
EECRは「2004年から2007年にかけて行われたピエール・オージェ観測所(英語版) (PAO) での最初の観測で、5.7×10^19eV を超えるものは27回しか観測されなかった。これは、3,000km2もの面積を持つ観測所で4週間に1度程度しか観測されないという少なさである」wikipedia
たとえば、光速の1000000倍の速度で突入する陽子は、どれくらいのエネルギーを持つだろうか? 最初の式で計算すれば次のようになる。
E = 4.68 x 10^20eV
これはEECRそのものだ。相対性理論を信じるなら、光速を超える粒子は存在しない。光速に近づくと質量が増えていって、加速されないからだ。EECRの発生源は、超新星爆発、ブラックホール周辺などが予想されている。しかし、星間物質の少ない宇宙空間では、ほとんどさえぎるものがない。相対性理論を無視すれば、荷電粒子は無制限に加速される。
太陽系外からの宇宙線は太陽磁場によって方向が変えられて、あまり多くは太陽系内には進入しない。さらに太陽系内部では、粒子が多いので、ぶつかる可能性が高くなる。地球近傍ではさらに粒子が増える。光速以上の速度を保ったまま大気に突入する宇宙線は、非常に少なくなると考えられる。
光速の10^6倍とはとんでもない速度なのだろうか? 天文学者・トム・フランデンによれば、重力の伝播速度は少なくとも光速の2x10^10倍だ。
電気的地球科学では、相対性理論を無視しているので、宇宙空間での速度制限はない。最高エネルギー宇宙線は、光速を超えてやってくる粒子だ。
追記:計算間違いが合ったので修正