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1815年にベルギーのワーテルローで行われたイギリス、オランダの連合軍とフランス軍の戦いでは、非常に象徴的な戦闘があった。イギリスの小隊が装備していたベーカー銃が非常に戦果を挙げたのだ。ベーカー銃はフランス軍のマスケット銃に対して、筒の中にらせんが刻まれていた。ライフルだ。そのため、マスケット銃が数十メートル離れるとほとんど命中しないのに対して、ライフルのあるベーカー銃は100メートルを超える命中精度があった。フランス兵の銃弾が届かない距離でイギリス兵は敵を撃つことができたのだ。
ベーカー銃はすぐにイギリスのエンフィールド工廠で量産され、カナダに持ち込まれた。その後、現在と同じカートリッジ式に改造されて、スプリングフィールド銃へと進化する。
ベーカー銃
スプリングフィールド銃は南北戦争において北軍を勝利させた。南軍もスプリングフィールド銃と同程度のエンフィールド銃を装備していたが、安く大量に作れるスプリングフィールド銃は100万丁以上も生産され、兵に行きわたった。その余ったスプリングフィールド銃は日本にも大量に輸入された。幕府軍と薩長軍は、当時の最新式の銃で撃ちあったのだ。しかし、当初幕府軍はフランスを頼っていたため、先込め式のゲベール銃を使っていた。いっぽうの薩長軍はベーカー銃を改良した元込め式のミニエー銃だった。ミニエー銃を供給したのはイギリスと縁が深いグラバー商会だったかもしれない。この銃の差が幕府軍と薩長軍の勝敗を決したという見方もある。明治維新はワーテルローの戦いで薩長軍の勝利が決まっていたのだ。
ちなみに、薩摩藩に武器を購入できる大量の資金があったのは、琉球で行っていたサトウキビ栽培のおかげである。砂糖は薩摩藩の武士に脳の栄養を与えるだけでなく資金も与えていたわけだ。