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たとえば、空はなぜ青いのかと学者に聞くと、レイリー散乱のせいだと答える。レイリー散乱は19世紀に主張された光の特性で、このときはまだ電離層は発見されていなかった。電離層が発見されるのは20世紀後半に人工衛星が打ち上げられるようになってからだ。
電波がどのようにして伝わるのかと学者に聞くと、場によって電場と磁場が交互に現れながら伝わると答える。場の概念は19世紀にマクスウエルによって考案されたが、このときはまだ電子の存在は知られていなかった。電磁誘導は磁場の変化がいきなり電場を作り出すと説明されるが、電子の存在を知ったら、そこに電子が介在していると考える必要がある。磁場の変化は電子を動かしその結果、電場が変化するのだ。
古い知識がそのまま残っているのは地震も同じだ。プレートの移動によって岩石に溜められたひずみが解放されるとき、地震が起こると説明されている。しかし、岩石はバネではない。岩石は電気を溜める誘電体で、電圧をかけると逆圧電効果で変形する。これも最近わかった知識だ。地震は地球内部に流れる電流が逆圧電効果で岩石を変形させるために起きる。
地球の自転も慣性ではないし、太陽系の公転もそうだ。現在のわれわれは最新の科学知識で自然を理解しているように考えるが、それは大きな間違いで、ほとんどは19世紀に考えられた未開の知識で満たされている。
最先端の科学といえば量子力学を思い浮かべるかもしれない。しかし量子力学にしても19世紀に世界を席巻した熱力学が変化したものだ。原子の構造を明らかにしたはずの量子力学は肝心の原子内部の構造は、霞のようにおぼろなものであるとしか説明できない。しかも、存在しない量子という妖怪が物理学のみならず、経済や精神医学、はては占いなどにはびこっている。まさに科学以前の迷信の時代が科学の名前で宣伝されているのだ。
100年前に西洋の合理主義に触れた文豪はこう書き記している。
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」
現代の世において合理主義を貫こうとすると、あちらこちらからわけのわからない抵抗を受ける。まことに住みにくい。
「住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。」
住みにくい世の中をなんとかしようともがくと芸術が生まれるのだが、芸術ははたしてこの問題を解決するだろうか。