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電波を曲げる
April 21st, 2006昔々、CQ誌に電波を曲げる実験というのが載ったことがあった。八木アンテナを2段スタックにして、下側の八木から少しだけ波長の短い電波を出すというものだった。そのレポートは「USO800」とつけられてあって、エイプリルフールにちなんだ記事だったことが次の号で知らされた。今だったら、どんな批判が飛び出すかわからないが、のんびりとした時代だったのだろう。
ところで、電波を曲げることはできる。強力な重力場で電波、電磁波は曲げられる。また媒質の屈折率が異なる境界でも曲がることが知られている。正確に言えば、曲げるのではなく、反射によって電波の方向が変えられることは、電離層での反射がそのよい例だ。電離層は太陽からきた太陽風により、大気分子がイオン化した状態だと考えられている。
雨上がりの夕方、最上川を渡る車から、風車が回っているのが見えた。遠くには雨雲がかなり低く垂れ込めている。雲の裂け目から所々に青空が見えている。何気なく見ていた光景から、ぴんとくるものがあった。「電波と同方向にレーザー光を発射して、大気を電離させることができたら、好きなようにEスポを作れるのでは?」
さっそく帰宅してから検索してみると、レーザー光による誘雷実験というものが引っかかってきた。雷が鳴りそうな電位差の大きな大気中に、強力なレーザーを放射すると、レーザーの通り道の大気が電離して、誘雷するというのだった。実験は一応成功したらしい。雷が落ちるくらいの低空で電離させても、あまり遠くに電波は反射しそうにない。10キロ、100キロの高空で電離させることができたら、面白いだろう。でもこの実験をやるには、相当な費用がかかりそうだ。とても個人のレベルでできる実験ではない。どっかでやってくんないだろうか。