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正体不明ラジオはKK-D680
December 10th, 2008デジタルラジオのサンプルが届いた。KchiboというメーカーのKK-D680だ。見た目は、普通のポケットラジオと変わらない。DSPと大きなロゴとシールが張ってある。中国でもDSPラジオは、ほかのラジオよりもだいぶ高価な価格で販売されている。つくりは非常にしっかりした感じだ。電池を入れてみるとあっさりと鳴った。当たり前か。感度も普通。短波で7MにあわせてみるとSSBのモガモガが聞こえてきた。思ったよりも感度がいいらしい。FM、中波と試してみたが、聞いた感じからは、デジタルとは思えない。操作感は非常にカチッとしていて、気持ちが良い。ダイヤルもスムースだ。
IQ信号が上手く取り出せたらいいなあ、と思いながら早速中身を空けてみた。ネジを4本はずすと簡単にあいた。中国製のラジオは、あちこち無理な作りをしている場合が多かったが、これはとてもよくできている。金型がいいのかもしれない。基板上には、銅でシールドされた部分がある。これがたぶん、DSP本体なのだろう。ハンダで封がしてあるので、慎重に開けていく。LCDの枠も丁寧に取ると、チップが見えてくるはずだったが、あけてびっくり、なんと肝心のDSPチップが真っ黒な樹脂で封印されている。ブラックボックスだ。
これでは、何が使われているかさっぱりわからない。じつは某所からの情報で、ある程度中身はわかっていた。シリコンラボラトリーのSI4734と東芝のTC9318を組み合わせてあるらしい。シリコンチューナーとMCUを1個にして、ハンダ付けしやすいように、QFP状の基板にのせたようだ。どうやら北京にある会社が開発したモヂュールだそうだ。中国国内で製造されているDSPラジオは、すべて同じモヂュールを使っているらしい。
気を取り直して、信号をどこから取り出すか、追ってみた。AF増幅のD2822AというSOPチップからたどっていくと、モヂュールの端子に行き着いた。なんとこのラジオ、モノラルのはずなのだが、モデュールの寸前までステレオで回路が実装されている。とても奇妙な構成になっている。
ということで、たいへん申し訳ないけど、IQ信号を取り出すことはできなかった。でも、確実にできる機種があることがわかっている。来春早々に販売されるそうなので、ぜひ入手してみたい。
パラメトリックスピーカ、経過
December 1st, 2008じつはパラメトリックスピーカーの開発は、その後も進んでいる。周波数変調も加えたDSB and FM mixed modulatorを製作しているわけだが、いくつかの問題点が出てきた。ひとつは、調整が難しいということ。周波数変調の度合いを調整するところで、これが増幅度との兼ね合いで変化してしまう問題がある。現在は、クリスタルから555に変えて発振させている。周波数の調整と変調の調整が二つ必要になってしまった。調整が面倒な点を除けば、音質はかなり改善された。普通にテレビ、ラジオの音声が聞こえるようになった。パラメトリック効果の制限もある程度わかってきた。500Hz以下の低音を流すと、非常にひずみが増える。現在の回路では、1kHzくらいにカットオフ周波数を設定したハイパスフィルタと7kHzのカットオフ周波数を持つローパスフィルタを組み合わせている。この辺は、デジタル処理すれば、もっと良くなると思われる。
また、超音波スピーカーの個数も増やしてみた。200個を一度に駆動した音量は圧巻だ。本当にうるさいほどの音が出る。
そうそう、この試作機を持って、ラジオライフの東京ペディションに出店する予定。12月23日に渋谷で開催される。くわしくは、ラジオライフの1月号を見て欲しい。