Archives for: 2012年December27日
なぜFIM規格?
December 27th, 2012タイヤの性能とは、グリップであると大抵の人は考えているはずだ。どんな路面でも十分な駆動力・制動力を得られるのが優秀なタイヤといえるだろう。これに旋回性能などが加わって、トータルな面でのタイヤ性能が評価される。
これは、木下電機でテストする予定のタイヤ。VeeRubberがGNCCのために開発したモトクロスタイヤだ。柔らか目のコンパウンドで軽量化されている。結果が良ければ来季に注文するつもり。
グリップがタイヤ性能であると書いたが、現在扱っているFIM適合タイヤは、ある面ではモトクロスタイヤに負ける。ブロック高が高い分、柔らかな土、牧草地ではモトクロスタイヤに分がある。
タイヤのグリップ、つまり静止摩擦係数は地面との接地面積で大方が決まる。タイヤの空気圧を落として接地面積が広くなれば、グリップが良くなることはライダーなら経験からわかるだろう。トライアルタイヤが低圧でグリップが良いのは、ゴムの柔らかさとタイヤの厚みのために、接地面積がより広くなるからだ。
この接地面積を追求したのが、クローラーだ。ゴムの幅広いキャタピラは泥濘地、雪面で極大のグリップを発揮する。ATTRAXというクローラータイプの製品があった。これはバイクの後輪につけて雪の上で走行できる仕組みだったが、普通の土の上でも走行可能だった。ようするにトライアルタイヤのような駆動力を求めると、ATTRAXに行き着くわけだ。ATTRAXを装着して難所系エンデューロに出れば、技量には関係なく完走が可能になるだろう。
では、このような方向にエンデューロレースが向かうことが正解かというとそうではないと考える。タイヤ、マシンの性能を制限して、ライダーに公平な環境で競技してもらう、これがヨーロッパで行われているエンデューロ競技の精神だといえる。FIM規格タイヤは自然に対するインパクトを考慮していると同時に、タイヤ性能を制限することで競技における公平性を目指しているわけだ。